【不安全行動の防ぎかた(Part1)】~理解すべきリスクテイキングを解説~第12回

安全基礎
  • 不安全行動ってどういう対策をとるべきなの?
  • 不安全行動とヒューマンエラーって何が違うの?
  • ミスの中でも仕方ないミスと指導すべきミスってあるの?

不安全状態と不安全行動が重なった場合に、災害が発生すると言われ、

災害の90%以上について不安全行動が起因しているとも言われています。

今回は、不安全行動のなかでもリスクテイキングに焦点を当てて、防ぎかたを解説していきます。

不安全行動とヒューマンエラーの違い

不安全行動と同じような言葉として、ヒューマンエラーがあります。

ヒューマンエラーと不安全行動の違いを下記図に示します。

不安全行動とは、ヒューマンエラーのなかにおける「違反」「リスクテイキング」にあたります。

不安全行動は、「違反」と「リスクテイキング」

ヒューマンエラーのなかで、人に対して改善を行うべき事象が不安全行動です。

上記の、スリップ・ラプス・ミステイクについては、当人と直接関係のない環境や状況があるため、ミスを行った当人への否は少ないです。

しかし、違反・リスクテイキングについては、自らが意図してミスを犯しており、指導すべき対象になります。

違反:意図して不適切(規則違反)な目標を立てた行動

リスクテイキング:死傷や損失が発生する可能性があることを承知で行う危険敢行行動

今回は、リスクテイキングについて深堀りをしていきます。

リスクテイキングを起こすメカニズム

人は、リスクを感じると避けること(行動を起こさないこと)が特性としてあります。

しかし、そのなかで敢えて危険な行動をする理由は、そこに何かしらのベネフィット(利益、効用)があるためです。

例えば、リスクをおかすことにより作業時間の短縮や労力の低減や自らのミスを消すことができるなどのベネフィットが発生するような形です。

ベネフィットが複数ある場合や、ベネフィットが大きくなればなるほど、天秤にかけられたリスクを小さく見積もる傾向にあります。

自らのミスによりトラブルが発生した場合に、それを挽回しようとリスクをおかして行動することが典型例であり、

このような事象では、自らの地位や評判を確保したいという気持ちが強い人は、危険敢行しやすい傾向があります。

リスクテイキングのきっかけと防ぐ2つの方法

リスクテイキングを行うきっかけは、下記の2つです。

  1. 以前の成功(ファインプレーなど)体験からリスク認識が小さくなる
  2. リスクをおかすことによるベネフィットが大きい

きっかけをうけてのリスクテイキングを防ぐ方法は2つです。

  1. リスク認識を大きくする体験型安全教育
  2. ベネフィットを小さくする活動&安全行動へのベネフィット付与

1.リスク認識を大きくする体験型安全教育

体験型安全教育は、さまざまな形で各企業や教育機関で行われています。

今回紹介する安全教育は、危険体感教育とエラー体験教育の2つです。

危険体感教育

実際の災害を想定して、巻き込まれや墜落防止用器具(安全帯)のぶら下がり体験、モノの落下によるヘルメット衝撃体験など、

実際にミニチュア装置などを作成し、体で体感する教育です。

最近では、VRを使っての高所からの落下体験なども例があります。

エラー体験教育

人間がエラーを起こしやすい状況を作ることにより、エラーを体験できる教育、

また、エラーを実際におかした事象を体験し、危険敢行性を試す教育になります。

こちらは教育プログラムなどを作成するなど、コストがかかる部分もありますが、実際に仮想現実での体験はリスク認識を高めることにつながります。

2.ベネフィットを小さくする活動安全行動へのベネフィット付与

不安全行動の改善は、上記体験型が効果的なのですが、ベネフィットを減らすことも一つです。

ベネフィットを減らすとはいろいろな項目が考えられます。

近道行動をしそうな通路をふさぐこと。トラブル処置で焦らせない。など

ただ、これは生産にもかかわる部分であり、そのせめぎ合いで生産を選んでしまった経験もあると思います。

ですから、安全行動へのベネフィット付与が有効です。

リスクをおかして生産をすすめたときに、表彰しない!評価しない!褒めない!

安全な行動をしたときにベネフィットを与える。表彰する!評価する!褒める!です。

ファインプレー(リスクをおかしてトラブルを改善すること)を褒める必要はありません。

まとめ

今回は、不安全行動である「違反」「リスクテイキング」のなかから

リスクテイキングとはなにか?とリスクテイキングを防ぐ2つの方法を解説しました。

リスクテイキング:死傷や損失が発生する可能性があることを承知で行う危険敢行行動

リスクテイキングを行うきっかけ

  1. 以前の成功(ファインプレーなど)体験からリスク認識が小さくなる
  2. リスクをおかすことによるベネフィットが大きい

リスクテイキングを防ぐ2つの方法

  1. リスク認識を大きくする体験型安全教育
  2. ベネフィットを小さくする活動&安全行動へのベネフィット付与

リスクテイキングを行う人、つまりは危険敢行性が高い人は、アンケートなどで特定することができます。

全員への教育だけではなく、ピンポイントに個人を注意、観察することも必要になってきます。

不安全行動をなくして、無災害職場を形成していきましょう。

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製造業で安全衛生担当を7年経験しており、現在も継続中です。
日ごろの問題解決や安全知識を発信していき、安全担当者に選任されたかたの力になれると幸いです。

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