- 各職場でなかなかリスクアセスメントが実施されません。
- リスクアセスメントの対策がうまく進みません。
- リスクアセスメントよりも日ごろのKYや災害検討のほうが効果的じゃないの?
そんな悩みを抱えている安全担当のかたも多いと思います。
今回は、リスク管理の重要性とリスク管理の上手なの進め方について解説します。
リスク管理の重要性
安全(=許容できないリスクがないこと)な職場にしていくためには、リスクを把握し、計画的なリスク低減を行っていく必要があります。
もう一度言います。安全な職場を形成するためにはリスクを低減させる必要があります。
つまり職場の安全活動で中心にあるものは、 リスク管理 です。
リスク管理の手法として、リスクアセスメントがあります。
そのため、リスクアセスメントは他のどの活動よりも重要であり、安全活動の中心部分であることを意識する必要があります。
リスクを管理するうえでおさえるべき3つのポイント
リスクアセスメントが継続的に実施され、計画的にリスクを低減させるためには、下記3つをおさえる必要があります。
- 職場内の全作業のリスクを把握し、優先順位を決める
- リスクアセスメント活動は現場に丸投げしない
- 各職場別のリスク評価の差は気にしない
私自身が、リスクアセスメント活動を管理するうえで、意識している3つの項目です。
現場での悪い事例を参考に見ていきましょう。
悪い事例 ~現場でよく見かける事象~ と改善点
1.リスク低減活動をノルマ化(1件/年)し、全体把握ができていない
QC活動を行っているような事業所がQCと同様に1件/年の安全改善を行っているものです。
毎年1件が悪いというわけではなく、職場全作業のリスク評価は実施したうえで、優先度の高いものからリスクアセスメントを実施してればよいのですが、
毎年4月に改善テーマを決めるような職場は、対策ができそうなものから取り組んでいるケースが多くあります。
全作業のリスク評価を行ったうえで優先順位を決め、毎年の活動が計画性をもってリストを消し込む形になるようにしましょう。
2.リスクアセスメントが現場だけの活動になっており、管理者はリスクアセスメントと関係のない改善を行っている。
これは、管理者の問題です。
管理者が全ての安全活動を把握しておくことは難しいかもしれません。ただし、リスク管理(リスクアセスメント)だけは、必ず把握しておかなければいけません。
なぜなら、予算執行権があるからです。
工場で安全のための改善予算がなければこのようなこともありえますが、
ともすれば、管理者の判断でリスク評価表とは関係のない部分に予算を使っているケースがあります。
リスク評価表は、現場の意見書でもあります。リスク評価表を使って、上司へ改善予算申請をすることが、よりリスクアセスメントを効率的に行う手段になります。
3.各職場から出てきたリスク評価を横並びにそろえようとする
各職場から出てきたリスク評価表を管理者が見た際に、A職場はこの作業で死亡災害と想定しているがB職場は休業災害と想定しているから、B職場のリスク評価が甘い!見直しなさい!
ということがあります。
例えば、300トンの荷を扱う職場が1トンの荷を扱う作業のリスク評価を行う場合と、天井クレーンもないような職場で1トンの荷を扱う作業のリスク評価を行う場合は、結果が異なって当然だと考えられます。
リスク評価はあくまで相対評価であるため、職場内での合意は取っておく必要がありますが、各職場ごとのリスク評価を統一することは時間の効率が悪くなり、現場のモチベーション低下もまねきます。
各職場の全体的なリスクを管理者が把握したうえで、より高リスクな職場へ安全予算をかける判断をすることが管理者の役割です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
安全担当者は、各職場のリスク管理を把握、改善を支援しなければいけない立場です。
生産部門の管理者がしっかりと職場のリスクを把握し、計画的に予算を与え、設備改善ができているか?
設備改善ができない場合に、作業方法の改善を現場側へお願いする姿勢が、より良い安全文化を形成することになります。
現場側についても、職場全体のリスク評価をまとめていない状況で、その都度改善要求を管理者へしたところで、管理者はその事象が本当に改善すべきリスクなのかが判断できません。
安全担当者は、生産部門の管理者と現場作業者がそれぞれの役割をしっかりと果たすよう支援していきましょう。
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