【労災隠しを防ぐ】~労災隠しに気づくポイント4選~第9回

安全管理
  • 労災隠しってどういうものですか?
  • 日ごろの業務のなかで、小さなケガはあり得るからすべて上司に報告することは気が引けますが。
  • 労災隠しが悪いことは分かっているんですが、現場で気づくためにはどうしたらよいですか?

といった質問がありました。

大前提ですが、労災隠しは犯罪です。

労災隠し(不正)については、現場第一線で日ごろ頑張っている作業者の方の知識が不足しているために、管理者が行ってしまうケースが多くあります。

ぜひ知識を身に付けて、ケガをしたうえに犯罪の片棒をかつがないようにしましょう。

今回は、労災不正処理の後処理を経験したことがある私が、労災隠しに気づくポイントを解説します。

労働災害とは?労災隠し(不正処理)とは?

まずは、定義を確認しましょう。

労災隠しは、労災不正処理の一つです。

労災不正処理の2つの種類も確認しておきましょう。

  • 労働災害:労働者の業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡
  • 労災不正処理①:労働者死傷病報告書を提出しない
  • 労災不正処理②:労働者死傷病報告に虚偽の内容を記載している

労働災害については、業務上と通勤途上も入っていることを認識しておきましょう。

ただし、通勤途上については、自宅と会社の道のりを登録したうえで、寄り道をしないことが前提になります。

労災不正処理は2種類あります。

労働者死傷病報告書というのは、会社内にて労災が発生した場合に、所轄の労働基準監督署へ提出しなくてはいけない報告書です。

1つ目は、報告書を提出しないことです。労災がなかったことになるわけですから、これが一般的な労災隠しといわれるものです。

2つ目は、報告書に虚偽の内容を記載することです。異なる場所で起きたように記載したり、作業状況を改ざんしたりすることです。

実際に、法令違反作業をしていた際などは、虚偽報告の動機になりえます。

労災隠しを行う理由は?

労災隠しを行う理由は下記のようなものがあります。

  • 労働災害発生後の対応が面倒(死傷病報告書の提出方法が分からない、対策会議で怒られるなど)
  • 発注者、元請け、会社に迷惑をかけたくない
  • 労働基準監督署の立ち入りや処罰を回避したい

特に製造業や建設業においては、下請けという立場上、災害発生により会社として仕事を失うことを考えて行為に及ぶケースが多いようです。

ただし、言っておきます。

労災隠しが発覚した場合、仕事を失うことがほぼ確実なうえに、今の情報社会で”隠すことができる”と考えることはやめておいたほうが良いでしょう。

労災不正に気づくポイント4選

被災者がしっかりと報告をしたとしても、管理者の判断により労災不正となっているケースが多くあります。

被災者が災害を隠すことを除いて、管理者が労災不正を行っている可能性がある事象について4つ解説していきます。

1.健康保険証を使用するように指示される

災害発生時に、まるでプライベート(私病)で病院に行くかのように、「自分で近くの病院行ってきて!」と言われるパターンです。

労働災害の治療については、健康保険証を使用してはいけません

健康保険証を使用すると3割負担になりますが、労働災害の場合は被災者が費用を払うことは絶対にありません。

被災当日以降の加療や通院も同様です。健康保険証は使用してはいけませんし、被災者が費用を払うことはありえません。

この事象は、労災隠し確定です。

2.治療費について、上司が現金で払う

健康保険証を使わなければ労災隠しではないかというと、そうとは限りません。

健康保険証を使用せずに、会社が治療費10割を支払うパターンです。

普段は病院で3割負担が当たり前なので、あまり感じないかもしれませんが、

病院の窓口の方に言えば、治療費10割支払いをすることが、簡単に口頭で出来てしまいます。

先ほども言ったように、健康保険証を使用することは、公傷を私傷だと言っているので、詐欺罪にあたる可能性があります。

ですので、健康保険証は使用せずに会社が全額費用をもつという考え方です。

労働災害の処理としては、労働基準監督署と病院と会社の3者が書類にて処理を行うため、その間に現金が出てくることはありえません

公傷か私傷かが分からない場合に仮の対応としてはあり得るかもしれませんが、この対応は一度覚えてしまうと良からぬ方向へ行ってしまいます。

3.被災内容や被災場所を変更するように説得される

労災不正処理の二つ目の種類である「虚偽報告」にあたるケースです。

労働隠しは行わないものの、災害内容が法違反項目を含んでいる場合や発注者からのペナルティなどを考えて、内容や場所の変更を行います。

このように説得された場合も、労災不正処理が確実と認識してください。

4.災害報告書が出ない、災害対策が行われない

最後は、こちらです。

会社の規模や制度によって異なりますが、災害が発生した場合は社内で災害報告書を作成する場合が一般的です。

これは、労働基準監督署へ提出する様式とは別に、社内で展開する書類のことです。

他の災害では、災害報告書が回覧されるのに、自らの災害だけが災害報告書として回覧されていない場合は、災害がなかったことになっている。

労災隠しを疑ってみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、現場の最前線で働く方の目線で、労災不正処理の見破り方を解説しました。

被災者側が知識を持っていないことをよいことに管理者が不正を働いているケースは多くあります。

労働者側がしっかりとした知識を持ったうえで、犯罪撲滅に取り組みましょう。

また、安全担当者の立場としては、今回のような教育を現場の方へ行い、法令順守を心がけましょう。

安全管理
スポンサーリンク
ひこたろをフォローする

製造業で安全衛生担当を7年経験しており、現在も継続中です。
日ごろの問題解決や安全知識を発信していき、安全担当者に選任されたかたの力になれると幸いです。

ひこたろをフォローする
安全学園~安全担当者のためのブログ~

コメント

タイトルとURLをコピーしました