- 人がミスする意味が分かりません。なんで、ミスするんだろう?
- 人はミスすることが前提だけど、どれだけ作業方法を改善しても、不安全行動がなくなりません。
- 人のミスへの対策ってどのようにすれば良い?
災害発生において、不安全行動が起因することが多く、90%以上とも言われています。
設備対策は一度行うと、一定期間の効果を発揮します。
しかし、人間はそうはいきません。
今回は、ヒューマンエラーの種類と対策の考え方を解説していきます。
人はミスをする生きもの
「人間はエラーを起こすものであり、それは避けられない(To err is human, to forgive divine)」ということわざがあります。
ヒューマンエラーは、人間の持つ本来の特性と環境要因に深く関係します。
J.Reasonは、ヒューマンエラーを次のように定義しています。
「計画された心理的・身体的過程において、意図した結果が得られなかった場合」
心理的・身体的とあるように、認識や判断(意思決定)と動作や操作の計画・実行の失敗もエラーの一部とされます。
ヒューマンエラーの種類(J.Reason)
J.Reasonは、ヒューマンエラーを下記の4種類に分類しています。
- スリップ(slip):行為の意図は正しいが、実行段階で意図と異なる行動をしてしまう
- ラプス(laps):行為の意図は正しいが、意図を忘れたり、行為をし忘れてします
- ミステイク(mistake):意図的ではあるが、間違っている認識がなく失敗してしまう
- 違反(violation):規則違反を認識したうえで行った行為
ヒューマンエラーの分類別対策
スリップ(slip)、ラプス(lapse)、ミステイク(mistake)については、人間の情報処理エラーに起因しています。
そのため「エラーが起こってもシステム上で故障を防ぐこと」や「注意喚起」「ルールベースや知識ベースの教育」など、周囲の環境や個人の知識を改善することが対策になります。
ヒューマンエラーが災害や事故につながった場合、「人は間違いを起こす生きもの」であるため、個人を叱り飛ばすことは望ましい対応ではなく、原因(心理的状況、身体的状況)を深堀りし、個人に特化しない検討を行う必要があります。
しかし、違反(violation)は異なります。
ヒューマンエラーのなかで、この違反(violation)が不安全行動と認識されている部分もあり、安全を脅かすものとして考慮する必要があります。
違反(violation)への対策は、教育訓練も必要ではありますが、カメラ設置による行動抑制や人事考課への反映など、「性悪説」の考え方に基づく対応が必要になります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、ヒューマンエラーの分類・対策について、基礎的な部分を簡単にご紹介しました。
日ごろは不安全行動の撲滅のため、安全担当者や管理者は悩んでいることだと思います。
人の行動を制御することはなかなか難しい部分がありますよね。
ただし、ヒューマンエラーが起きた場合に、すべてが「ダメじゃないか」で片付けることは望ましくありません。
現場作業者の心理的状況や周りの環境なども考慮のうえ、対話や対策を実施していくことを心がけましょう。
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