- 最近、作業現場にカメラ設置を検討していますが、効果はあるのでしょうか?
- カメラ設置の際に、現場からの抵抗が強いので、納得する説明ってできないものでしょうか?
- 参考にカメラ設置後の効果的な活用方法を教えてください!
という質問をうけました。
結論としては、監視カメラ設置は効果があると考えています。
今回は、WAIとWADの考え方から、監視カメラの効果を解説していきたいと思います。
WAIとWADとは?
安全の基礎知識として、WAIとWADの定義を説明します。
- WAI(Work-As-Imagined):行うことが期待された作業
- WAD(Work-As-Done):実際に行われた作業
WAIについては、行うべきとされている行動のことです。例えば、仕様書や作業手順書などに記載されている行動のことです。
WADについては、実際に現場で行われる行動です。
WAIとWADを一致させることは難しい
WAIの考え方は、作業を分解してとらえることにより、作業効率の改善を行うなど、作業の基盤として効果を発揮してきました。
また、詳細な指示や訓練、作業計画の改善などにも役立ちました。
手順の有効性と手順遵守が安全には非常に重要であることも認識できています。
それは、WAIとWADを完全に一致させようと考えることを目指した活動だと思います。
しかし、机上での資料作成や頭のなかで作業手順を検討するだけでは、
WAIとWADを完全に一致させることは難しいと言えます。
ある書籍で、「地図の上で想像される旅と現実の旅との違い」とたとえられており、私自身納得する部分がありました。
作業者自身もWAIとWADが一致していると認識していても、現実は異なるような事象があります。
決して、一致できていないことは叱るべき対象ではないのです。
現状把握を行い、改善に結び付けることが必要になります。
改善のための一つのツールが監視カメラになります。
監視カメラの効果5選
監視カメラの使い方について、効果を含めて5つ紹介します。
1.現場把握(現状把握)
今後労働人口が減少するなかで、人から機械へ移行するような合理化施策も製造現場で加速すると考えられます。その際に、上司が現場を確認し、その場で指示を出すことは難しくなってきます。
マンパワー不足により、現場を確認せずに部下の情報だけを頼りに指示を出す上司も多くいると思います。
そんなときに、監視カメラやウェアラブルカメラがあれば、現場把握が効率よく進み、安全上の具体的指示が出しやすく、WAIとWADが一致しやすい環境になります。
2.普段の作業の解析
カメラのデータを確認することにより、WAIとWADの違いに気づくことができます。
作業者自身が気づきにくい行動の部分の改善に役立ちます。
3.新人教育用
カメラのデータを保存することにより、新人教育への使用が、机上の書類だけではなく、画像として見せることで、より具体的な作業手順や安全ポイントを伝えることができます。
4.災害時の分析
災害発生後のヒヤリングを行う際は、被災者の気が動転していることもあり、記憶や行動があいまいな部分があります。
しっかりと災害の分析や対策の検討を行う際に、カメラのデータを使用し、効果的な安全対策を立案することができます。
5.不安全行動抑制
実は、これが大きいと言うかたも多くいます。決まっている作業手順や確認ポイントを省略してしまう可能性がある場合に、監視カメラは非常に役立ちます。
作業者が気が緩みやすい時間帯など、監視カメラによって不安全行動が抑制されます。
監視カメラ設置の注意点
監視カメラを設置する際や設置後に注意する点を3つ紹介します。
1.個人情報の取り扱い
監視カメラのデータについては、個人情報に関わる部分があります。
個人情報だと認識したうえで、管理者は、使用方法や展開方法などのルールを整備することが必要になります。
2.カメラ設置場所を限定する
カメラ設置については、現場からの抵抗も考えられます。
リスクが高い作業や、危険作業を行わざるを得ない場所など、限定的な配置をすることにより、現場からの納得が得られ、現場と管理者の連携がスムーズに進みます。
3.管理者は現場に足を運びましょう
カメラを設置することにより、管理者が全然現場に出てきません。という意見をよく聞きます。
確かに、カメラで確認できる部分もありますが、実際に現場に足を運ばなければ確認できない細かい部分や現場作業者とのコミュニケーションの観点からも、現場に足を運ぶことは忘れないようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、監視カメラの設置について、WAIとWADの視点から解説しました。
監視カメラの設置は、現場の納得感や腹落ちが十分にとられなければ、不安全行動を助長してしまうことや、管理者と現場との溝が深まります。
設置場所を決める際の現場作業者との連携と、丁寧な説明を心がけ、さらなる現場環境の改善に役立てていただきたいと思います。
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