作業方法の改善は多く行ってきたんだけど、不安全行動がなくなりません。
災害全体の90%の要因に不安全行動が入っているというデータもあるよね。
今回は、認知バイアスの観点から不安全行動の防ぎかたを解説するよ。
不安全行動とは?(復習)
まずは、不安全行動には種類があるんだよ。
答えられるかな?
え?不安全行動は、作業者が不安全な行動をしたことだよね?
うんうん。そうなんだけど。不安全行動は、「違反」「リスクテイキング」の二種類があるよ。今回の講義では細かく触れないけど、ヒューマンエラーの観点から下の表も覚えておこうね。
今回は、不安全行動を起こしてしまう心理状況(認知バイアス)を考えていくよ。
確かにみんながみんな、故意に不安全行動を行っているわけではないかもね。お願いします。
認知バイアスとは?
不安全行動に関連する認知バイアス6つを紹介するよ。
1.正常性バイアス
2.楽観主義バイアス
3.同調性バイアス
4.ベテランバイアス
5.新人バイアス
6.確証バイアス
認知バイアスは、人間であれば誰もが持つ特性だよ。
その考えが不安全行動につながることを理解しよう!
経験したことがある項目はチェックしてみてね。
1.正常バイアス
認知した異常が範囲内であれば、なるべくその異常を正常としてみてしまうことです。
少しの異常を感じたときに、「これくらいならたぶん大丈夫、大したことない」と思い込んでしまう気持ちです。
この思考により停止判断や報告が遅れて、トラブルが大きくなることがあります。
不安全な状態が存在した場合に、「これくらいなら大丈夫」と判断して、行動してしまうことが不安全行動へつながることを理解しようね。
2.楽観主義バイアス
危険なことを目にしても、自身には危険はないと考えてしまう気持ちです。
例えば、災害や事故の情報が来たときに、自分自身は大丈夫!同じようにはならない!と思い込んでしまう気持ちです。
過去に災害が起きた手法であっても、「自分自身は大丈夫」と思って行動をしてしまうことが、不安全行動につながってしまうよ。
3.同調性バイアス
これは、有名な「赤信号、みんなで渡れば怖くない」などにあるような悪い例だね。他人が不安全行動をしていても、自らはせずに注意しよう。
4.ベテランバイアス
過去の成功体験や経験から自信がつきすぎてしまうことです。
過去の危ない体験や、操業トラブルを早い時間で解決したファインプレーが記憶に残っているために、同じ状況が起きた場合に不安全な行動をしてしまいます。
過去のトラブル対応が不安全行動によって改善できた事例は多くあるでしょ?でも今同じ状況が起きた場合は、その行動はダメだよ。
安全担当者は、現場の不安全行動をかえりみずに行ったトラブル対応(俗にいうファインプレー)を絶対に褒めてはダメだよ!
5.新人バイアス
ベテランとは逆に、未経験であるがゆえに、リスクを過大または過小に評価することです。
ベテランであっても、行動することをイヤがるなど、新人同様の考えを持ちやすい人もいます。
自信がないことにより、安全行動をしない。ということは、新人だけに当てはまるわけではないよ。
6.確証バイアス
先入観や思い込みに基づいて、都合の悪い情報を無視する考えかたです。
ある決断をすると、その後に接するすべての情報を都合よく解釈してしまう。
自分の仮説や信念を検証するときに、それが正しい情報ばかりを集めてしまうことあるよね。「自分は間違っていない」みたいな。
それによって、点検箇所を見落として不安全行動を行ってしまうことがあるよ。
不安全行動の防ぎかた(認知バイアスの観点から)
認知バイアス6選はどれくらい当てはまったかな?
みんなも一度は経験したことがある認知バイアスじゃなかったかな?
次は、認知バイアスによる不安全行動の防ぎかたを解説するよ。
1.認知バイアスの存在を、理解する・理解させる
まずは、今回説明した認知バイアスを現場第一線の作業者へ教育しましょう。
自らの思考法や考えかたの特徴を理解するだけで、不安全行動を踏みとどめることができます。
なんや!そんなことかい!って思ったかな?
でも、知っているか知らないかは大きいことだよ。
まずは、教育してみてね。
2.特定の人へのコミュニケーションを工夫する
上記の認知バイアスに当てはまりやすい人をある程度特定したうえで、個別にコミュニケーションを工夫しましょう。
ベテランや新人などの分かりやすい対象者だけではなく、楽観的に考えやすい人や同調しやすい人などを安全担当者が理解します。
そのうえで、パトロールなどによって個別に注意(声掛け)をしていくことで安全が担保されます。
不安全行動を止めるためには、細かい声掛けやコミュニケーションが非常に重要になるよ。面倒かもしれないけど、緻密な分析と効果的な声掛けを意識しよう。
3.認知バイアスによる失敗事例を紹介する
認知バイアスは、人間であれば誰でも持っている特性です。
認知バイアスを理解したうえで、発生したミスやトラブルをしっかりとヒヤリハット事例として対策を行うようにしましょう。
ヒヤリハットはマンネリ化をしている事業所もあるから、キャンペーン的な考え方のもと(例えば、5月・6月に重点活動)、認知バイアスによるリスク抽出を行ってみても良いかもね。
まとめ
今回は、不安全行動の防ぎかたを認知バイアスの視点から解説したよ。
どうだったかな?下記にまとめてみるよ。
1.正常性バイアス
2.楽観主義バイアス
3.同調性バイアス
4.ベテランバイアス
5.新人バイアス
6.確証バイアス
1.認知バイアスの存在を、理解する・理解させる
2.特定の人へのコミュニケーションを工夫する
3.認知バイアスによる失敗事例を紹介する
不安全行動のなかで、危険敢行性は災害をもっと起こしやすく、被害程度も高くなる傾向にあります。
まずは、認知バイアスの視点から、不安全行動を起こしやすい状況や起こしやすい人を特定して、個別に改善していきましょう。
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