- リスクアセスメント手法は決まっているけど、活動が継続できません。
- 危ないって言っても、全然改善されないんですよね。
- 結局現場任せになっていて、まったく進捗しないんですけど。
前回は、リスクアセスメントの手法について解説をしました。
今回は、Part2としてリスクアセスメント導入後の実践段階でリスクアセスメントが効果を出しやすい手法5つを解説いたします。
リスクアセスメントとは?(復習)
リスクアセスメント:危険性または有害性等の調査及びその結果に基づく措置(安衛法28条)
非常に抽象的な表現ですが、私自身は、リスクアセスメントを次のように意識しています。
「各作業のリスク評価をし、優先順位をつけ、リスク低減を行う」
特に優先順位をつける、見える化をすることが重要です。
リスクアセスメントの効果的手法5選
リスクアセスメントの手法は決めたものの、やりかただけを決めただけでは継続できません。
取り組みかたや管理方法を決めることにより、しっかりと効果が出てきます。
今回は、効果的な手法を5つ紹介、解説していきます。
- 現場の意見をリスク管理表に反映させる
- リスク評価表を職場関係者に把握させておく
- 管理職は、リスク管理表を必ず把握する(安全予算とリスクアセスメントをつなげる)
- 改善については、技術スタッフも混ぜながら改善する
- すべての安全活動の中心をリスク管理表(リスクアセスメント)に置く。
1.現場の意見をリスク管理表に反映させる
いろいろな安全活動を行うなかで、管理者と現場とのコミュニケーションは近年非常に重要視されてきました。
現場の意見を聞くときに、どのようなツール、形態をとっていますか?
対話会を企画したり、コミュニケーションパトロールを実施するなど、工夫を凝らした活動を行っていると思います。
しかし、最終的に管理者は、職場の課題や要望などを聞いたときに、どこに改善リソース(お金や時間、要員)を割けばよいのか判断に困ります。
その結果、実施しやすいものや声の大きい人が優先されてしまうものです。
現場の改善要求や意見を全てリスク管理表(リスクアセスメント)に落とし込みましょう。
これを行うことにより、合理的に優先順位が決められるので、管理者そして現場も納得するものになります。
2.リスク評価表を職場関係者に把握させておく
リスクアセスメントは、まずリスクを評価することから始めます。
リスク低減をすぐに考えてしまい、全作業のリスク評価を行わずに全体感を把握しない職場が多くあります。
職場内全体のリスク評価を行ったあとに、リスク評価表を職場関係者に把握させることが必須です。
現場最前線の作業者だけへの周知はダメです。スタッフにもしっかりと周知をすることでリスク管理意識を持ってもらうことができます。
3.管理職は、リスク管理表を必ず把握する(安全予算とリスクアセスメントをつなげる)
リスクアセスメントを行ううえで、管理職(室長、課長など)は重要な役割を担っています。
なぜかというと、予算判断をしなくてはいけないからです。
管理職が職場の安全レベルを上げようとした際に、どこから改善をすべきか分からない場合、現場の意見を参考にするしかありません。
現場の意見がリスク管理表にまとまっていれば、それを基準に予算配分を行っていきましょう。
現場の意見がリスク管理表にまとまっていなければ、現場に指示を出して丸投げしましょう。
ただし、予算判断までは現場に丸投げしないでくださいね。
安全予算とリスクアセスメントにつながりを持たせることにより、
現場は自らの意見が改善に向かっていることが目に見える形になり、
管理職が動いてくれていると実感します。
4.改善については、技術スタッフも混ぜながら改善する
私もいろいろな職場を見ていますが、リスクアセスメントが効果的に進んでいる職場は、スタッフの関わりかたが良いです。
管理職(室長、課長)などは当然ながら、スタッフも現場と協力してリスクアセスメントに取り組んでいます。
現場作業者だけの発想ではなくて、実際に設計部門や技術開発部門の部署とも連携をしながら改善を進めることで、本質的安全にむけた改善ができています。
管理職(室長、課長)は、各職場に担当スタッフをつけるなどして、リスクアセスメント活動推進を行いましょう。
5.すべての安全活動の中心をリスク管理表(リスクアセスメント)に置く。
災害を防ぐことは、リスクを低減することです。
そのためのリスク管理をすべての安全活動の中心に置く必要があります。
日々現場では、多くの安全活動を実施しています。
現場が活動で疲弊している職場はいくつも見てきました。
現場が疲弊してそのぶんの効果が出ていればよいのですが、なかなか出ていません。
現場の安全活動の簡素化や省略を行ったとしても、リスク管理表(リスクアセスメント)につなげていれば問題ありません。
そして、管理職はリスク管理表を定期的にヒヤリングすることにより、現場リスクの状態が把握できます。
リスクアセスメントの4つのメリット
最後に、「とはいえ、リスクアセスメントの良さが分かりません!」というかたに、
リスクアセスメントの4つメリットを紹介します。
- リスク情報が目に見える形になる
- 安全対策コストの合理的な判断ができる
- 説明責任が果たせる
- ブランド力、信用力が維持できる
1.リスク情報が目に見える形になる
リスクアセスメント結果をリスク管理表にまとめることで、職場リスクの全体像が見えます。
そのリスク評価を現場に掲示するだけでも、作業者がどの作業がリスクが高いかを把握することにより、行動や注意力も変わってきます。
2.安全対策コストの合理的な判断ができる
リスク管理表を参考にすることで、リスクの低い作業に安全予算をかけることが減ります。
より現場が危険だと感じている箇所を優先的に改善していきましょう。
3.説明責任が果たせる
経営層や上司は、職場の安全を見る際に、災害がおこりそうな場所はどこか?高リスクはどこか?を気にしています。
これは、各階層で上司への報告の際に、リスク管理表(リスクアセスメント)があれば、現状のリスク管理状況が分かりやすくなります。
これは、上司だけではなく、管理職が職場に進捗状況や管理状況を示すためにも使えます。
職場のリスク低減ができることを共有できれば、安全活動がさらに積極的に進むでしょう。
4.ブランド力、信用力が維持できる
客先への説明にもリスク管理表は使えます。
KYにどれだけ力をいれているか、災害の横展開を素早くやっているか、
よりも、リスクをどのように管理・低減しているのか?が一番分かりやすい指標になります。
企業や事業所の安全活動の指標として表すことで、客先への信用力を上がて行きましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、リスクアセスメントの効果的手法5つと、リスクアセスメントのメリット4つを解説しました。
- 現場の意見をリスク管理表に反映させる
- リスク評価表を職場関係者に把握させておく
- 管理職は、リスク管理表を必ず把握する(安全予算とリスクアセスメントをつなげる)
- 改善については、技術スタッフも混ぜながら改善する
- すべての安全活動の中心をリスク管理表(リスクアセスメント)に置く。
- リスク情報が目に見える形になる
- 安全対策コストの合理的な判断ができる
- 説明責任が果たせる
- ブランド力、信用力が維持できる
リスクアセスメントは、職場内での安全活動において必ず必要な考えかたです。
ぜひみなさんの職場でも取り入れてみてください。
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