【災害が減らない】~安全文化の作りかた4選を解説~第28回

安全管理
安全担当者
安全担当者

お疲れ様です。いろいろな災害対策を行ってるんだけど、なかなか災害が減らず、同じような災害が繰り返し発生してしまいます。。。

ひこたろ
ひこたろ

災害が発生したあとに対策や横展開をすることも大事だけど、、、、

今回は、組織の根本的な部分に潜む「安全文化」について解説していきたいと思います。

 

ひこたろ
ひこたろ

「安全文化」を意識することで、災害が発生する根本的な原因を解決できるかもしれません。

1.「安全文化」の歴史と定義

ひこたろ
ひこたろ

「安全文化」という概念は、実はそこまで深い歴史があるわけではないよ。いつから始まったか分かるかな?

安全担当者
安全担当者

わ、分かりません。。

ひこたろ
ひこたろ

正解は、1992年。

「安全文化」という考え方は、1986年に発生したチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所事故を受けて報告された調査報告書(1992年)のなかで初めて記載されました。

 

【安全文化の定義】 ※国際原子力機関(IAEA)によるもの
安全にかかわる諸問題に対して最優先で臨み、その重要性に応じた注意や気配りを払うという組織や関係者個人の態度や特性の集合体
安全担当者
安全担当者

まったく意味がわからない。まわりくどくて吐き気がしそぉ~

ひこたろ
ひこたろ

だよね。ここでは、「安全文化」=「安全を重要と考える組織文化」と覚えましょう。

「安全文化とは、組織が作っていくもの」 という意識を持ったうえで、管理者は各活動に対応しなければいけません。

また、日本の全国安全週間のスローガンに「安全文化」の言葉が初めて入ったのは、2000年度の「災害ゼロから危険ゼロへ みんなで築こう新しい安全文化」でした。

 

2.「安全文化」の4つの要素

ひこたろ
ひこたろ

それでは、「安全文化」をつくっている4つの要素を紹介するよ。

「安全文化」の4つの要素 ※J.Reasonによるもの
(1)報告する文化
(2)公正な文化(※正義の文化とも訳される)
(3)柔軟な文化
(4)学習する文化
(1)報告する文化

エラーやミスを隠さずに報告し、その情報に基づいて事故の芽を摘み取る努力を常におこなうこと。

つまり、懲罰の脅威にさらされることなく、悪いことも報告することが出来るかが必要です。

ひこたろ
ひこたろ

ヒヤリハットや軽傷の災害に対して、報告者や被害者が一方的に責められる組織であれば、「隠す文化」という最悪な状態につながります。

 

(2)公正な文化(正義の文化)

許容できる行動と許容できない行動のラインが明確になっていること。

言語道断な行為には厳しい制裁も必要であり、その場合の賞罰は公正であるべきです。

ひこたろ
ひこたろ

公正な賞罰が行われることは、管理者と現場第一線の信頼が生まれ、安全の情報が正確に報告される基盤となるよ。

 

(3)柔軟な文化

組織に対して変化する要求に効率的に適応できること。

トップマネジメントの価値観が現場にしっかりと浸透したうえで、現場が目の前のトラブルなどに対して柔軟に対応することができるかが問われます。

ひこたろ
ひこたろ

トップの価値観を現場第一線までしっかりと共有化することが必要になるよ。

 

(4)学習する文化

正しい結論を導き出す意欲と能力、改革を実行する意識を持つこと。

安全に関する情報(例えば、普段の作業における報告事項や他社の災害情報)を受けたときに、学ぶという向上心と改善を実行する意思を職場が持っているかが重要です。

ひこたろ
ひこたろ

普段の会話のなかで安全についてのアンテナを高く持ち、職場のなかで常に改善を実行する組織が目標の姿だね。

 

個人的なヒューマンエラーによる災害だったとしても、職場ごとの文化を上記4つの切り口で見ていくことで、本質的な課題が見えてくるかもしれません。

3.「安全文化」の作りかた ~4つの要素をうけて~

ひこたろ
ひこたろ

最後に、4つの要素を受けて「安全文化」を作るために何をすべきか4つ紹介します。

 

「安全文化」の作りかた
(1)トップの意識を明確にする
(2)組織内部の監視の目を作る
(3)個人の倫理観を醸成する
(4)外部の監視の目を作る
(1)トップの意識を明確にする

まずは、経営者やトップがしっかりと「安全最優先」を宣言し、実行することです。

現場第一線の作業者が判断に迷ったときに、まずは自らの命を最優先させるために、常日頃から安全最優先、安全第一という言葉を発し続けましょう。

 

(2)組織内部の監視の目を作る

現場第一線の作業者は、目の前の作業や災害対策に集中してしまう傾向にあります。それは悪いことではありませんが、職場や組織を客観視できる存在が必要です。

管理者や技術者などが現場作業や行動をしっかりと監視することにより、安全文化を構成する4つの要素がしっかりと機能しているかをチェックしましょう。

また、職場内でも作業者が不審な点をしっかりと報告できるホットライン(内部通報制度)を整備することも必要です。
(3)個人の倫理観を醸成する

倫理観という言葉が難しいかもしれませんが、「当たり前のことを当たり前にできる」ことだと思います。

まずは当たり前のことである安全に関する基本行動を教育・認識させましょう。

そして基本行動が実行できるよう、常日頃から声掛けや教育を継続しましょう。

 

(4)外部の監視の目を作る
最後に、外部の監視の目を作りましょう。
事業所内での内部監査などでは抽出できない課題や問題点を外部の目を入れることで、新たに抽出することができます。
ISO45001の審査・更新コンサルタントの活用などの外部の目はもちろんのこと、本社による第三者目線での監査は、監査側と被監査側のどちらにもメリットがあります。
外部からのチェックがないと活動がしっかりとできない事業所も多いと思いますので、そのような環境を作ることは重要です。

 

4.まとめ

ひこたろ
ひこたろ

いかがだったでしょうか?今回は「安全文化」の4つの要素安全文化の作りかたを解説しました。

ポイントを復習しておきましょう。

 

安全文化の定義
「安全文化」=「安全を重要と考える組織文化」

 

「安全文化」の4つの要素 ※J.Reasonによるもの
(1)報告する文化
(2)公正な文化(※正義の文化とも訳される)
(3)柔軟な文化
(4)学習する文化

 

「安全文化」の作りかた
(1)トップの意識を明確にする
(2)組織内部の監視の目を作る
(3)個人の倫理観を醸成する
(4)外部の監視の目を作る
普段、目の前の災害対策に時間を使っている事業所の安全担当者の方、少し異なる視点で組織をながめてみてはいかがでしょうか?
安全管理
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製造業で安全衛生担当を7年経験しており、現在も継続中です。
日ごろの問題解決や安全知識を発信していき、安全担当者に選任されたかたの力になれると幸いです。

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