部下がミスをした際に、「何でそんなミスをするんだ!!」と一方的に指導していませんか?
え?でも実際にミスをしたのは本人だから、本人に直接しっかりと指導する必要があるよね。
ミスをした本人が悪くない場合はどのように指導すべきだろう?
う~ん、感情的に本人を叱ってしまったときもあれば、しょうがないとあきらめてしまった場合もあるなぁ。
今回は、不安全行動のパターンを理解し、パターン別にどのように指導・対策をすべきかを解説するよ。
ミスをした場合に、ワンパターンの指導であれば、部下との関係性が悪くなり、本質的な改善につながらない場合が多いよ。
1.不安全行動(ミス)の分類
まずは、ミスの分類を説明するよ。
次の資料では、ミス(=ヒューマンエラー)の種類を示しています。
ミス(=ヒューマンエラー)には4つの分類があります。
・ラプス :図らずも(意図せずに)し忘れてしまうミス
・ミステイク:意図した行為として、設定した目標が間違ってしまうミス
・違反 :意図して不適切な目標を立てたことによるミス
2.スリップ、ラプスへの指導
この事象に対しては、どのように指導すべきでしょうか?
これは、人間の性質的な部分だから、本人を叱ってもどうしようもないように感じます。
そうだね。個人の能力差はあるかもしれないけど、誰でも起こる事象だと考えるべきだよね!
3.ミステイクへの指導
ミステイクは、自らが意図して行動した結果、目標が間違っていたものです。
人間は、パターンマッチングを好みます。私たちは、類似したパターンを見つけたいと強く思い、過去の問題解決ルールを適用しようとします。
しかし、これらのパターンやルールが間違っていることがあります。
このような事象にはどのように指導すべきでしょうか?
これは、そもそものルールや手法が間違っていたから、本人は悪くないように感じます。
そうだね。ただし、本人や職場が良いと思って起こした行動パターンが間違っていることは明確なので、しっかりと対策は必要だよね。
ミステイクは、トラブル発生時や普段の作業と異なる場合に発生しやすい事象です。
過去の災害を起点に作業を見直した場合で、実はリスクが高まってしまった場合などもこれにあたるのではないでしょうか。
こちらの対策は、「個人判断を極力しない」「トラブル発生時は、止める・呼ぶ・待つの徹底」「普段の作業手法の定期的な見直し」「認知バイアスの認識・教育」などがあげられます。
類似したパターンを見つけてしまう性質を理解したうえで、日ごろの作業手法の見直し・トラブル時の対応徹底が必要です。
決して、特定の個人が悪いわけではありません。
4.違反(バイオレーション)への指導
違反は、自らが意図して、不安全な行動をすることです。
具体的には、2つの作業をつなぎ合わせてしまう「省略行動」、規定されているルール通りに行動しない「近道行為」などがあります。
このような事象にはどのように指導すべきでしょうか?
これはずばり不安全行動であり、本人が悪い!本人にしっかりと叱るべき内容だと思います!!
そうですね。っと言いたいところなんだけど・・・
なぜルールを破ると思いますか?
そ、それは・・・・・・よく分かりません。
ルールを意図して破る場合には、理由があります。
見込まれる損失よりも利益のほうが大きいときに違反が行われます。
これは人間の習性だという理解もできるのです。
違反を行いやすい人の特徴を下記します。参考にしてみてください。
・自分のスキルを他人と比較して高く評価している人
・比較的経験が豊富で、エラー傾向のない人
・災害などの前歴がありそうな人
・他人の考えや、結果の否定的な部分を気にしない人
以上のような傾向を参考に、管理者は注意深く作業者の行動を見ておく必要があります。
しかし、違反を見つけた場合は、叱ったり、懲罰を与えることは効果的ではありません。
しっかりと自らの特徴を認識させることにより、行動を改めさせる必要があります。
具体的には、自らの特徴の認識を教育・正しい作業手法の訓練などがあげられます。
5.まとめ
いかがだったでしょうか?今回は、不安全行動(ミス)のタイプ別指導方法を解説しました。
結論は、「特定の個人を叱らずに、しっかりと対策を考える」ということでした。
まぁ、たしかに感情的に叱ることは良くないですよね。
指導方法を改めます。
★特定の個人を叱らずにしっかりと対策を検討しましょう。
不安全行動の分類と対策を押さえておきましょう。
・ラプス :図らずも(意図せずに)し忘れてしまうミス
・ミステイク:意図した行為として、設定した目標が間違ってしまうミス
・違反 :意図して不適切な目標を立てたことによるミス
ラプス・スリップ
絶対に守るべき部分(災害などにつながる部分)を強調する環境づくり
ミステイク
日ごろの作業手法の見直し・トラブル時の対応徹底
違反
自らの特徴の認識を教育・正しい作業手法の訓練
コメント