- 職場でやりにくい作業の抽出をしているんだけど、これは意味ありますか?
- やりにくい作業の抽出でなにを抽出すれば良いのかわかりません。
- 普段の活動(リスクアセスメントや災害横展開、ヒヤリハット)に加えて、やりにくい作業の抽出までさせられて何が大事かわかりません。
やりにくい作業の抽出を上司に言われて現場でしていませんか?
「やりにくい」は感覚によって異なります。上司に言われて個人の感性で行う場合は、みなさんの感覚がバラバラなので、なかなか良いものができません。
今回は、やりにくい作業の抽出と改善を人間工学的な視点から解説していきます。
やりにくい作業の抽出を行う理由
やりにくい作業の抽出を行うことは、以下の場合が効果的です。
- 安全活動のマンネリ化
- 不安全行動による災害が多発する
現場では、日ごろ安全活動を実施していますが、マンネリ化することがあります。
また、リスクアセスメントなどで改善は行っているものの、人の不安全行動による災害が多く発生することがあります。
リスクアセスメントでリスク低減を進めているが、なかなか災害が減らない。
そんなときは、人が無意識に不安全な行動を起こすことを疑ってみてください。
「~やすい」「~にくい」とは?人間工学の視点で見てみよう
「~やすい」とは、ユーザビリティが良いということです。
ユーザビリティが良いということは、その作業(システム)と使用者(ユーザ)の適合性が高いということです。
ユーザビリティが良いと判断をする要素は4つです。
- 使用性が良い
- 効果が高い
- 効率が良い
- 満足度が高い
この4つを十分に満たしていると、「~やすい」という感覚になります。
では、「~にくい」とはどのような状況でしょうか?
上記の4つを満たしていない場合が多いのは言うまでもありません。
- 効果がない ・・・ 出来栄えが悪い など
- 効率が悪い ・・・ 作業時間が余計にかかる など
- 満足度が低い ・・・ ストレスがたまりやすい、疲労が増える、不満がある など
人間の感覚で「~にくい」と感じた場合は、ヒューマンエラーが起こり、事故につながりやすくなります。
やりにくい作業の抽出方法
個人の感覚でやりにくい作業を思いつくままに抽出をした場合は、抜けが発生をします。
抽出作業を行う時間も限られたなかで、より抜けなく抽出するポイントは下記5つの要素です。
- 感覚(見にくい、聞きにくい、見つけにくい、見間違いやすい)
- 判断(わかりにくい、思い違いしやすい)
- 記憶(覚えにくい、忘れやすい)
- 動作(押しにくい、頭をぶつけやすい、ムリな姿勢になりやすい、持ちにくい)
- 時間(タイミングがとりにくい、二人作業で息があわない)
人間の感覚は、その日の体調や環境によっても抽出が異なります。ぜひ、抽出する際は、上記5点を意識しながら、抽出をしてみてください。
現場改善を考えるうえで必要な知識(アフォーダンス)
アフォーダンス(affordance)とは、環境の中に置かれた物体のある形状が、特定の行為を誘発してしまうことです。
人間は、無意識のうちに環境の特性に誘発されて、ある特定の行為を行ってしまうのです。
「見ただけで、使い方が分かる」「見ると、特定の行動をしてしまう」という気持ちです。
「~やすい」は、安全であれば良いのですが、「失敗しやすい」のようにミスが起こりやすい場合は放置してはいけません。
そのような状況を改善するのに必要な考え方がアフォーダンス(affordance)です。
下の写真を見てください。
取っ手がついているので、引きたくなりますよね。しかし、この扉が押さないと開かない扉だったらどうでしょう?
おそらく100%ミスが起こりますよね。
そのほかにも、「なぜか不要物を置いてしまう平坦な棚」「目に入りやすいスイッチを押してしまいがち」など人間にはアフォーダンスしてしまう状況がかなり多く存在します。
「失敗しやすい状況」をすこしでも改善することで、無意識に行う不安全行動を防ぐこともリスク低減の一環です。
まとめ
本日は、やりにくい作業抽出のポイントと現場改善に必要なアフォーダンス(affordance)の考え方を解説しました。
日ごろの活動がマンネリ化し、リスク抽出がなかなかされない職場においては、キャンペーン的な活動として「やりにくい作業の抽出」を行うことも効果があるでしょう。
当然、作業の抽出を行った場合は、リスク評価をし、リスク管理一覧表へ追記するようにしましょう。ここは抜けてはいけません。
また、人間工学という視点で、現場改善の知識(アフォーダンス)も紹介しました。
人間が、不安全行動を行う要因は感覚的な要素もあるため、なかなか改善できないと思う方もいるかもしれません。
安全教育に注力するだけではなく、本日紹介した方法を使ってみてはいかがでしょうか?
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