第3回リスク低減とは?~ALARP領域を用いたリスク低減の目標設定を解説~

安全基礎

 

ひこたろ
ひこたろ

今回は、ALARPリスク低減における目標設定について勉強していくよ。

復習だけど、安全の定義って覚えてる?

安全担当者
安全担当者

ん~~、なんだったけなぁ。

あっ!「許容できないリスクがないこと」だ。

ひこたろ
ひこたろ

正解!素晴らしいです。ただ、その定義は分かったとしても「許容できないリスク」ってどういう状態か回答できる?

安全担当者
安全担当者

えっ!?これは、人の感覚によるのではないかなぁ。。。

ひこたろ
ひこたろ

そうだよね。ただ、人の感覚では、リスクをきちんと評価できないから、今回のALARPの考え方を使って、各社・事業所で許容できないリスクの位置(段階)を設定する必要があるよ。

今回は、ALARPの考え方とリスク段階の設定方法(目標設定)を解説するよ。

安全担当者
安全担当者

なるほど!よろしくお願いします。

リスクとは?ALARPとは?

ひこたろ
ひこたろ

まずは、リスクALARPの定義を確認していくよ。

リスクの定義危害の発生確率と危害のひどさの組み合わせ <ISO/IECガイド51:2014>
ひこたろ
ひこたろ

リスクアセスメントの評価項目が、(発生確率)×(発生した場合の重篤度)になっている事業所は、この定義から来ているものだよ。

ALARPの定義合理的に見て実行可能な限り、リスクを低減すること(As Low As Reasonably Practicableの略)
 
ひこたろ
ひこたろ

ALARPとは、人によって感覚的に変わるような対策の検討ではなく、”合理的に” ”実行可能な” リスク低減を行う考え方だよ。

リスク許容度の3段階

ひこたろ
ひこたろ

実際に、許容できる目標設定についてALARPも用いながら説明するよ。

まずは、リスク許容度について下記の3段階があることを理解しよう。

リスクの許容度の3段階
 ① 許容できないリスク
 ② 広く許容されているリスク
 ③ ①と②の間、許容できないリスクではないが、低減すべきリスク(ALARP領域)
ひこたろ
ひこたろ

①、②、③を図にしてみると下記のようになるよ。

 
 

各社・事業所において、リスク許容度の境界を決めることにより、現場作業者のリスク認識やリスク低減活動の効率化につながります。

なお、一般的には広く許容される領域までリスクを下げることを目標設定とすることが目安となります。

リスク低減の目標設定における3つの考え方

ひこたろ
ひこたろ

各社・各事業所で目標設定の方法はさまざまあるけど、今回は考え方の一部を紹介するよ。

1.法令や規格の順守(標準逸脱基準)

規格や規制・法における安全基準を満たしていれば良いという考え方です。

規格や規制・法には、国が定めた法令やJIS(日本工業規格)などがあります。

法で定められている部分は、最低基準となるため、満たしていなければ法令違反となります。

安全担当者
安全担当者

法令順守を目標設定ってちょっと甘くない?法令はさすがに大丈夫だと思うけどなぁ。

ひこたろ
ひこたろ

ほんとに大丈夫?多くの法令を満たしているかは、常にチェックする必要があるし、人事異動や組織変更のなかで引き継ぎ不足により、抜けている事例も多くあるよ。

ひこたろ
ひこたろ

法令は、昔からしっかりと実施できているから大丈夫と思ってチェックをしないと、そのことに起因した大きな事故が発生するかもしれません。安全担当者はしっかりとチェックしましょう。

 

2.リスクベネフィットの原則

安全の目標は、リスクとコスト・ベネフィットで決まるという考え方です。

安全はコストではなく投資です!という素晴らしい企業もありますが、現状は安全をコストと認識している事業所が多いのではないでしょうか?

その際に、コストとベネフィット(利益)を考えて改善をしていくことは実行力が高まる考えかたと言えます。

ひこたろ
ひこたろ

リスク低減目標を設定する際に、ベネフィット効果(利便性)やコストを明確にすることでそれぞれ個別の目標設定がしやすくなるよ。

安全担当者
安全担当者

ベネフィットとコストが表示されていた方が、改善の優先順位付けや管理もしやすくなるね。

3.等リスクの原則

一定のリスク水準を定めて、それ以上のリスクだけを削減するという考え方です。

リスク低減目標の設定方法としては、こちらを採用している事業所は多いのではないでしょうか?

リスク評価がⅠ~Ⅳまであるとすると、リスクⅠ、Ⅱは許容できるリスクと決め、リスクⅢ、Ⅳをリスク低減していくなどです。

現場作業者への納得が得られやすい反面、本質的な改善が行われないままリスクを下げることを助長することが往々にして起こります。

ひこたろ
ひこたろ

リスク水準を定めることは、非常に分かりやすい基準だし、リスク許容度ともうまくマッチングするけれど、リスクを無理やり下げることにつながりやすいよ。

安全担当者
安全担当者

安全担当者としては、リスク評価の妥当性を常にチェックする必要があるね。

ひこたろ
ひこたろ

そうだね。大きな事業所では、安全担当者が全てをチェックすることはできないから、役職者への教育も重要になってくるね。

まとめ

ひこたろ
ひこたろ

どうだったかな?今日のポイントを下記にまとめるよ。

リスクの定義危害の発生確率と危害のひどさの組み合わせ <ISO/IECガイド51:2014>
ALARPの定義合理的に見て実行可能な限り、リスクを低減すること(As Low As Reasonably Practicableの略)
リスクの許容度の3段階
 ① 許容できないリスク
 ② 広く許容されているリスク
 ③ ①と②の間、許容できないリスクではないが、低減すべきリスク(ALARP領域)
★リスク低減の目標設定における3つの考え方
 1.法令や規格の順守(標準逸脱基準)
 2.リスクベネフィットの原則
 3.等リスクの原則
ひこたろ
ひこたろ

目標設定の3つの考え方は、どれかを選ぶのではなく、3つとも必要な考え方だと思うよ。

ひこたろ
ひこたろ

業界や作業形態などによりリスク許容度は異なってくるから、各事業所でリスク低減目標を定めることによりリスク低減活動がより推進されやすくなるよ。

安全担当者
安全担当者

まずは、目標を設定して活動をしてみるよ。

安全基礎
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製造業で安全衛生担当を7年経験しており、現在も継続中です。
日ごろの問題解決や安全知識を発信していき、安全担当者に選任されたかたの力になれると幸いです。

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