リスクアセスメント活動を現場と実施しているんだけど、評価表を作るだけになっているような気がして。。。なかなかリスクアセスメントの効果が出てこないんですよね。現場は頑張っているんだけど、管理者がどのように関わるべきかが良く分かりません。
作業をよく理解している現場作業者がリスク評価を行うことは非常に重要ですが、リスクアセスメントの効果が出るか否かは、管理者次第です。
今回は、リスクアセスメント活動を機能させるために管理者が意識すべき3項目を解説するよ。現場作業者は、常に頑張っています。ぜひ管理者の働きかけで効果を高めていきましょう。
管理者の役割とは?
まずは、意識する具体的項目を考える前に、前提条件として管理者の役割を確認しましょう。
3つの役割をしっかりと念頭に置きましょう。
1.予算をつける(お金を出す、判断する)
2.第3者視点でチェックをする
3.全体の情報を整理・開示し、現場のモチベーションを維持する
1.予算をつける(お金を出す、判断する)
管理者(工場長や室長)の最も大事な業務は、判断・決断をすることです。
リスクアセスメントにおいては、予算を各職場へ配分することが最も重要な役割になります。
予算を配分しないと安全以外の面においても、現場は本質的な改善ができないからです。
リスクアセスメントについて、必要な結果は、本質的に安全な状態へリスク改善をすることです。
2.第3者視点でチェックをする
次に大事なことは、管理者自らの目で現場を確認・チェックするということです。
3現(現場・現物・現実)主義とも言いますが、書類などの報告書だけではなく、現場をしっかりと確認するということです。
リスクアセスメントについても、活動報告書だけではなく、現場現物をしっかりと自らの目で確認するようにしましょう。
その中で、現場との認識合わせや管理者目線での改善点などは議論をするようにしましょう。
3.全体の情報を整理・開示し、現場のモチベーションを維持する
管理者と現場作業者の信頼関係は、非常に重要です。
現場作業者は、管理者をよく見ています。
リスクアセスメント活動についても、現場だけに押し付けることはなく、管理者がしっかりと関わっていることが現場との信頼関係を築くうえで必要になってきます。
具体的には、管理下にある職場の情報を集約し、自らの判断を含めて現場へ開示することが必要です。
リスクアセスメント活動においては、各職場のリスク評価をまとめて
①どの職場に予算をいくら配分するのか
②どの職場を優先的に改善していくのか
③なぜそのような優先順位になっているのか
を報告する必要があります。
現場に報告することにより、ある一定の職場へ予算が偏っているなどの不満が出ることもありますが、現場へ報告がなく勝手に実行されることのほうが長期的に見ると大きな溝を作ることになります。
まずは管理者の役割を確認しましたが、いかがだったでしょうか?
「こんな当たり前なことは分かってるよ!」
という方もいらっしゃるでしょうが、私も経験しているので分かります。言うのは易し、行うは難しですよね。いつも意識しておかなければ行動に移すことは難しいです。
管理者の役割を理解したうえで、リスクアセスメント活動における管理者の意識する3項目を見ていきましょう。
管理者が意識すべき3項目
さっそく結論から。リスクアセスメント活動において管理者が意識すべき3項目は次の3つになるよ。
1.リスクアセスメントと予算を紐付ける(現場監督者に丸投げしない)
2.リスクの数値は、各職場異なっていても気にしない
3.特定の職場への大きな予算投入よりも全職場へ小さな予算投入をする
1.リスクアセスメントと予算を紐付ける(現場監督者に丸投げしない)
管理者の中にはこのような方はいないでしょうか?
リスクアセスメントは現場の活動だから、リスク改善は現場で行うもの。設備改善が必要な場合は設備担当部署と協議して、毎年予算を立てています。
または、安全予算についても各職場のリスク評価結果における高リスク作業と紐付けが行われておらず、リスク発生都度に予算を配分する。
などがあります。
管理者は、現場の意見であるリスク評価表を通じて改善予算を配分することにより、本質的安全な作業へと改善が進みます。
まずは、高リスク作業において改善予算を見積もり、リスクアセスメントと予算計画をつなげることにより、本質的安全な作業へ改善していきましょう。
2.リスクの数値は、各職場異なっていても気にしない
私のもとにもこのような質問がよく来ます。
各職場で、リスクの感性が異なっていて、同じような作業でもA職場ではリスクが高くて、B職場ではリスクが中くらいなんです。
これは、指導して統一したほうが良いのですか?
この質問に対する結論は、
統一する必要はない!
各職場でリスク感性が異なることは当たり前!
少し例をあげて考えてみましょう。
例えば、運搬作業について考えます。
A職場では、300tonクレーンがあり、100tonの荷を運搬する場合を高リスクと評価し、1tonの荷を運搬する作業は、低リスクと評価していました。
一方、B職場では、大きな荷を運搬する作業もなく、1tonの荷を運搬する作業は高リスクと評価していました。
この場合、管理者はリスク評価を修正する必要はありません。
では管理者はどのように判断すべきなのでしょうか?
結論は、各職場のリスクレベルを集計するのではなく、内容を見たうえで最も危険な作業に対して優先的に予算を配分する必要があるのです。
上記の例であれば、100tonの荷を運搬することへまずは優先的に予算を配分する必要があります。
各職場のリスクレベルを集計して、高リスクを順番に改善していくような抽象的な指示を出してしまうと、リスクの高い作業が多い職場での災害がいっこうに減りません。
3.特定の職場への大きな予算投入よりも全職場への小さな予算投入をする
いやいや、2.では特定な危険職場へ重点的に予算を配分しろ!って言ったじゃないですか!と言われそうですが。。。。
3項目は、現場のモチベーションの維持の観点から解説します。
管理者の最も重要な役割は、判断・決断をして予算を配分することです。
しかし、高リスク職場ばかりへ予算を配分した場合に現場の雰囲気はどうなるでしょうか?
特定の職場が危険なことは承知しているが、そこばかりに予算を配分していると、予算を配分されない職場(低リスクな職場)の活動が停滞してしまうのです。
ここは、管理者のバランス感覚が非常に重要になってきます。
私の経験則としては、小さな予算で構わないので多くの改善項目に対して予算配分を行いましょう。
現場の心理としても、大きな予算が必要なために改善に時間を要するよりも、目の前の小さな改善をしてほしいことも多くあります。
管理者は、現場との対話のなかで、ときにはリスク低減に関して合理的ではないかもしれないけれども小さな改善予算を配分して、現場の活動モチベーションを保つことを意識しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、リスクアセスメント活動の進め方(管理者編)と題して、管理者の3つの役割と管理者が意識すべき3項目を解説しました。
1.予算をつける(お金を出す、判断する)
2.第3者視点でチェックをする
3.全体の情報を整理・開示し、現場のモチベーションを維持する
1.改善項目と予算を紐付ける(予算判断を現場監督者に丸投げしない)
2.リスクの数値は、各職場異なっていても気にしない
3.特定の職場への大きな予算投入よりも全職場へ小さな予算投入をする
冒頭にも言いましたが、リスクアセスメントの効果を最大限にすることは、管理者の働きかけが非常に重要です。
ぜひ、明日から意識してみてください。
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